
災害後の対策
災害後の対策とは
地震発生後は、冷静な対応が求められます。
発生直後や避難所などでの対策をご紹介します。
地震発生直後
怪我もなく、大きな揺れなどからも身を守ることができた場合、次にするべきことを考えましょう。

<家族の安否を確認する>
災害直後は電話もつながらず、家族の安否が分からない状態になります。あらかじめ家族で連絡方法を決めておきましょう。
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災害用伝言ダイヤルの「171」や「web171」
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携帯電話会社の災害用伝言板
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連絡が取れない場合の落ち合う避難場所を決めておきましょう
<オフィス内の様子や近所の人の様子を確認する>
自分の安全を確保して、オフィスの様子や隣近所の様子を確認しましょう。
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救助が必要な人がいる場合、周りの人間と協力して救助を心がけましょう。
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怪我人がいる場合、怪我の状態に合わせて応急処置をしましょう。
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周囲に声をかけてみんなで協力しましょう。
<火が出ている場合>
初期段階なら消火器やバケツリレーで消しましょう。
消火が不可能ならば屋外へ避難しましょう。
地震から数時間後
揺れが収まり、状況が確認できた場合、次の行動を考えましょう。

帰宅・移動する場合
帰宅・移動する場合、発生直後は危険を伴います。
外を移動する場合は、落下物などから身を守るためにヘルメットや軍手、粉塵対策のマスクが必要となります。
また、火災が発生していたり、建物が倒壊しているなどの危険地帯を避けて移動しなければなりませんので、情報を得る必要があります。
ラジオやスマホは重要な情報源となります。
車移動も出来なくなる可能性があります。
倒壊した建物や木などで、道路も危険な状態が予測される上に、避難する車で渋滞し、徒歩で移動する人々も溢れます。
停電によって信号機も街灯も消えます。
道路の陥没や橋の断裂に巻き込まれる可能性もあります。
東京や大阪などの都市では、大地震が発生した場合、一部の地区や道路が規制されます。東京都では、震度6弱以上の地震があった場合、環状7号線より内側の都心方面への車の進入が禁止となります。
また、首都高速、国道4号、国道17号、国道20号、国道246号、目白通り、外堀通りといった7路線は、消防や警察、自衛隊などの緊急自動車専用路の路線となるため、一般の車は通行禁止となります。
普段からオフィスから自宅へのルート、自宅から避難所へのルートを確認しておくのがいいでしょう。
公共の交通機関も止まりますので、被害地域からの移動も難しくなるのです。
徒歩で帰宅する場合
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徒歩帰宅が可能な距離の目安は10kmです。自宅までの安全なルートを確認しましょう。
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歩く時間帯は日中が基本です。夕方以降の出発や夜間の移動は危険が伴うため行わないようにしましょう。
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帰宅支援対象道路(主要幹線道路)を歩きましょう。
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必要な物資を持ち、同じ方向のメンバーごとにグループで帰宅しましょう。
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ルート上の被害状況や帰宅支援ステーションを確認しましょう。
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長袖のシャツや長ズボンで歩きやすい靴を履きましょう。
徒歩で帰宅する場合の持ち物
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飲料水
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食料
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タオル
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ホイッスル
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携帯電話・スマートフォン・予備バッテリー
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マスク
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手袋
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ラジオ
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地図
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簡易トイレ
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救急セット
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ウェットティッシュ
オフィス避難する場合
自宅までの距離が20km以上の人は帰宅困難と想定されています。
2013年に施行された『東京都帰宅困難者対策条例』条例では、「災害発生から3日間(72時間)の間、従業員を職場に留めておく」ことが求められています。
建物の安全が確認が取れた場合には、むやみに移動を開始せず自社の建物内で待機しましょう。帰宅を希望する人が殺到すると救助活動の妨げとなる恐れがあります。また、余震や混乱などの二次被害を避けることも重要です。
企業が行うべき努力義務は「防災対策」、「防災備蓄」、「安否確認体制」となります。
全従業員の3日分の水と食料、トイレを準備すると同時に、オフィスに留まった従業員が家族の安否を確認できるようにするのが望ましいです。
オフィスに留まるためには「衛生用品」も必須となります。トイレが使えなくなった時のための簡易トイレ、ウエットティッシュ、歯磨きシート、マスクも病気を防ぐためにも必要です。
また、寝泊まりするための毛布や床に敷くためのマットもあった方がよいでしょう。
自社に留まるための準備
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物資の配布スペースを設ける
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飲料水や食料、毛布などの配布を行う
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女性用やお客様用の専用スペースを確保し、アナウンスや展示物で周知する
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施錠のルールや解放区画を決定する
在宅避難する場合
自宅が無事だった場合、多少不自由でも在宅避難をお勧めします。まずは、余震に備え、安全に過ごせる部屋を決めましょう。
窓ガラスがわれてしまっている場合
残ったガラスを取り除いて、ダンボールやブルーシートなどを養生テープやガムテープなど粘着力の強いテープで貼りましょう。
トイレ
排水管に損傷があると汚水が逆流したり、どこかから漏れたりする可能性がありますので、トイレは使うのを避けましょう。
災害用トイレの備蓄がない場合は、大きめのゴミ袋を便器の中に敷き固定しましょう。その中に機密性の高いビニール袋を入れて用を足し、取り替えましょう。
食事
カセットコンロとガスを常備しておけば、ライフラインが止まった場合でも温かい食事を取ることが出来ます。
レトルト食品を温めたり、調理用の水を節約できるパッククッキングがお勧めです。
また、近くの避難所へ登録することで物資の支給を受けることが出来ます。
照明
LEDライトやランタンなどがあると安心ですが、電池が切れてしまったり、使えなかった場合は身近なもので照明を作ることも可能です。
・懐中電灯を水の入った透明のペットボトルの下から照らす。
避難所へ行く場合
被災した場合「避難所に行く」と考えていらっしゃる方も多いかと思われます。
その場合、多くの被災者は学校の体育館や公民館、コミュニティセンターなど、市区町村が指定する避難所に避難します。
多くの人が集まりますので、場所を確保するのも困難となります。
また、都市部では人口が多いため、避難スペースは不足しています。自宅が倒壊しておらず、マンションなど倒壊の心配が少ない建物に住んでいる場合は、避難所には入れません。
また、避難所にはお年寄りや小さなお子様がいる家庭が優先的に入ることになります。
自宅が倒壊、津波、火災などで暮らせない場合、指定された避難所で他の大勢の避難者との共同生活をしなければなりません。
避難所の場所は?
指定避難所は住んでいる地域で決まっています。事前にチェックし、自宅から避難所までのルートを確認しておきましょう。
持っていくものは?
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貴重品はもとより、避難所で生活することを前提とした日用品や衣服、食料など。
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スマホのバッテリーや電池式の充電器を用意しておきましょう。
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津波や火災で持ち出せなかった場合は、とにかく避難所へ行きましょう。
避難所ではどう過ごすの?
避難所は、自宅で生活できない人たちが共同で生活する場所です。避難者で役割分担をして、自分たちのことは自分たちでやりましょう。
妊婦や乳幼児、具合の悪い人は?
妊娠中は免疫力が下がっており、感染症にかかりやすくなっています。また、乳幼児も免疫が未発達で、感染症にかかりやすいため、可能であれば、それぞれ別の部屋を用意して、一般の避難者と区別しましょう。
具合の悪い人は、他の人たちに感染する可能性もあるため、できれば別の部屋を用意して、一般の避難者と区別しましょう。救護所がある場合は、そちらで診てもらいましょう。
別のスペースを用意するのが難しい場合は、居住スペースに仕切りをつけるなどの工夫をしましょう。
赤ちゃんがいる
紙おむつや肌着、ミルク、ベビーフードなど、日頃から使っているものを備えておきましょう。
災害時には哺乳瓶の消毒などもままならなくなります。使い捨ての哺乳瓶や液体ミルクを備えておくのも良いでしょう。
介護を要する人は
介護が必要な人は一般の避難所ではなく、福祉避難所へ避難することができます。ただし、福祉避難所は、災害時に必要に応じて開設する二次避難所となりますので、すぐに開設されるとは限りません。
内閣府のガイドラインでは、「福祉避難所の対象は、高齢者、障害者、妊産婦、乳幼児、病弱者等避難所生活において何らかの特別な配慮を必要とする者とし、その家族まで 含めて差し支えない。」となっておりますが、各自治体ごとに取り組みが異なりますので、該当する方はあらかじめ自治体のホームページなどで確認しておくとよいでしょう。
ペットがいる
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ペット用の食料・ペットシーツ・水などを備蓄しておきましょう。
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普段から同行避難できる場所、預け先などを日頃から考えておきましょう。
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ペット用のキャリーバッグを用意しておきましょう。
環境省のガイドラインでは、原則は「自助」、つまり災害時にペットの安全を確保するのは飼い主の責任となっており、避難が必要な状況になったら基本は「同行避難」することとしています。ただし、避難所でのペットの扱いは自治体や管理者の判断に委ねられており、ルールが定められていない所も多いようです。また、アレルギーなどの問題もあるため、ペットを避難所の室内に持ち込むのは難しいと考えていいでしょう。
清潔の保持
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水道が復旧するまで手洗いが難しいため、手指のアルコール消毒を徹底しましょう。
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歯磨きシートなどで口腔ケアをしましょう。
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入浴や洗髪の代わりにウェットティッシュや、水のいらないシャンプーなどで清潔を保ちましょう。
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髪の乱れや汚れの気になる方には帽子をおすすめします。
避難所での犯罪
災害時の拠り所である避難所ですが、犯罪も相当数発生しています。
物品の奪い合いや盗難、その他にもストレスが原因とみられるトラブルも報告されています。
また、女性にとって深刻な問題は、のぞき、強制わいせつ、強姦といった性犯罪の被害です。東日本大震災や熊本地震の際にも性被害が発生しています。
女性や子供は、防犯ブザーを携帯する、暗くなったら外出を控える、日中でもできるだけ複数で行動する、トイレに入る前には不審なところはないか確認する、死角になる場所は警戒する、貴重品は肌身離さずもつ、目立つ格好をしないなど、被害にあわない意識と行動を心がけましょう。