オフィスのデスクと変化する仕事環境

2020/06/09
オフィスのデスクと変化する仕事環境

オフィス環境は新型コロナウイルスへの対応で、テレワーク導入などで大きく変化しました。
一方、変わらずオフィスへの出社が求められる企業や業種も多くあります。
また、緊急事態宣言が解除されて通常の出勤スタイルへ戻った方も多いでしょう。

「新しい生活様式」とは新型コロナウイルス感染症対策の専門家会議から示された予防策ですが、この基準で考えたとき、従来型のオフィスの仕様をどのようにすれば良いか考えてみました。
下記は、厚生労働省からの「新しい生活様式」の実践例です。

 

一人ひとりの基本感染対策
□人との間隔は、できるだけ2m (最低1m) 空ける。
□遊びに行くなら屋内より屋外を選ぶ。
□会話をする際は、可能な限り真正面を避ける。
□外出時、屋内にいるときや会話をするときは、症状がなくてもマスクを着用。
□家に帰ったらまず手や顔を洗う。できるだけすぐに着替える。シャワーを浴びる。
□手洗いは30秒程度かけて水と石けんで丁寧に洗う (手指消毒薬の使用も可)

 

働き方の新しいスタイル
□テレワークやローテーション勤務
□時差通勤でゆったりと
□オフィスはひろびろと
□会議はオンライン
□名刺交換はオンライン
□対面での打ち合わせは換気とマスク

詳細は下記厚生労働省 [外部リンク]をご覧ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_newlifestyle.html


この新しいスタイルを取り入れた上で、どのようなオフィスにするのかを考えるとき、会社の業務の根幹となるデスクワークがどういったスタイルで行われているかで、方法も変わってきます。
まずは、デスクワークのあり方を決めるデスクのデザインや機能をみてみましょう。

 

オフィスのデスクサイズの変遷
「JIS規格」はご存じかと思いますが、オフィスのデスクにおいてもJIS規格サイズがあります。

 

旧JIS規格と呼ばれる、昔ながらの事務机のサイズは、幅915~1,016mm(右側が引き出しの片袖机)、奥行635~730mm、高さ740mmとなっています。これは、戦後に米軍規格のデスクが日本のオフィスに導入されたため、アメリカの基準に合わせたサイズが日本の基準になったものです。

 

幅と奥行きはともかく、高さは終戦当時の日本人の体格からすると高すぎるサイズだったので、1971年には700mmに変更されました。その後、日本人の体格が良くなったり、外国人の社員を採用する企業が増えたりしたので、もう少し大きいサイズが求められるようになり、1999年には、JIS規格のサイズは参考扱いとなりました。現在、一般社団法人 日本オフィス家具協会によって高さ720mmが推奨されています。

 

奥行に関しては、パソコンが普及し始めた当時、ブラウン管モニターを置くために800mmのものが主流となりました。その後、モニターは液晶の時代になり、さらにはノートブックパソコンが普及するようになったので、再び700mmが主流となっています。ペーパーレス化が進んでいるオフィスでは、書類を広げるスペースが必要ないため、600mmの省スペースデスクも一般的になっています。

 

単体デスクの種類と仕事内容に沿った選び方


据え置き型で個人が使う単体デスクには、スタンダードな片袖机、両袖机、平机、L型机、ラウンド型などがあります。企業の業務内容や仕事の進め方、業種に合ったデスクを選びましょう。

 

片袖、両袖の「袖」は、デスクにつくり付けられた引き出しのことです。片袖机は左右どちらかに、両袖は左右両側に引き出しがついています。一般社員は片袖、備品管理者や管理職などは両袖が一般的です。

 

平机は「袖なし」になります。必要なければそのまま引き出しなしで使用しますが、部署の異動や引っ越しのときに便利な、キャスター付きのキャビネット式の引き出しを天板の下に入れることもできます。

 

天板の大きさはパソコンがデスクトップかノート型か、書類作成作業があるかないかで違ってきます。幅1,200mmあれば、デスクトップパソコンと電話機を置いても書類を広げることができます。ノート型パソコンだけなら1,000mmで十分です。

 

専門職など社員個々が集中して作業を進める場合は、たっぷりスペースが取れるL型机も考えられます。天板がL字型になっていて、デスクトップパソコンが余裕で2台置けるので、グラフィックやCGのデザイナー、証券のディーラーなどパソコンを駆使する業務に向いています。

 

パソコンを長時間使う業務に向いているデスクとして、ラウンド型もあります。イスを置く位置の天板が体に沿った形にくぼんでいて、席に着くとデスクとの一致感があります。パソコンを使うときに手の置き場があって肘に負担がかかりにくいデザインです。

 


働き方で変化したデスク


単体デスクは、従来型の社員一人ひとりに割り当てられたワークスペースです。毎日同じデスクを使うので、私物を置くなど自分が使いやすいようにデスクまわりを整えることができます。

 

レイアウトの多くは島型で、部署ごとにまとまっているので、チームワークを高めやすいメリットがあります。半面、組織の編成が変わるたびに島を異動したり、デスクのレイアウトを変えたりする必要があります。また自分の荷物についても、キャスター付きのキャビネットであればそこに私物を入れて、ほかの島に移ることができますが、デスクに固定されたタイプであれば席移動は大変です。

 

その点、近年増えている、社員の席を固定しないフリーアドレスは、組織改編にスムーズに対応できます。電源や通信ケーブルを配したオフィステーブルを置いたり、ひとり用のカフェテーブルを置いたり、オフィス内がフリースペースとなっていて、自分の好きな場所で仕事ができます。

 

従来の固定型、フリーアドレスのほかに、ユニバーサルレイアウトといった配置もあります。

 

個別に分かれたデスクではなく、大型のオフィステーブルに電話などOA機器を均一に配置し、そこに部署メンバー、あるいはプロジェクトメンバーが座って仕事をします。いわば、大きなテーブルを共有するイメージです。

 

そのため、島型のように役職者のデスクを上座に設けたりせず、横に並んで座ります。組織変更があってもデスクの配置を変える必要がなく、従業員が別のオフィステーブルに移るだけですみます。

 

ユニバーサルレイアウトは、単体デスクとフリーアドレスの中間ともいえるレイアウトです。

 

フリーアドレスは自分の席を決めずに、その時々で好きな場所で仕事をしますが、ユニバーサルレイアウトの席は固定です。パネルをしつらえたり、付属の備品で単体デスクのようにアレンジできるものもあります。人員が増えたときはテーブルを継ぎ足すこともできます。

 


これらが多くの企業で用いられているレイアウトとデスクだと思われます。
「新しい生活様式」に当てはめてみるとそれぞれのレイアウトでの対策はどうなるでしょうか。

 

島型レイアウトでの対策

島型のレイアウトの場合、デスクの奥行きが700〜800mm、幅が1000〜1200mmと考えると、そのままでは推奨されている人との間隔は、できるだけ2m (最低1m) の達成は難しいと思われます。ただし、工夫次第でこの形のレイアウトが一番、感染症の対策には向いているとも言えます。

 

島型で対策を行う場合は、下記のような対応が考えられます。

・左右の席を一つ開け、対面の席を空けて座れるように、勤務を在宅と出社をローテーションで行う、午後と午前などシフトを決めるなど、出社人数を制限する。
・それぞれの席をある程度の高さのあるパーティションやパネルなどで仕切る。

 

パーティションやパネルで仕切る場合は、透明な物を選ぶなどなるべくオフィスに圧迫感のないものを選ぶと良いでしょう。

 

フリーアドレス型での対策

フリーアドレス型の場合、不特定多数の人が同じ場所を共有することになります。
その場合、使用後の除菌や消毒が不可欠となりますので、当分の間はある程度、席を固定した方が良いと思われます。

 

フリーアドレスのレイアウトの場合も、一列に席が並んでいる場合もあれば、島型のようにある程度デスクが固まって配置されているレイアウトもあります。
ミーティングテーブルのようになっている場合もあります。

 

一列に席が並んでいる場合は、席と席の感覚を開ける、デスクが固まっている場合はパーティションを設けるなどの対応が必要となります。

 

・席を固定する。
・席と席との間隔を空けて椅子を配置する。
・ローテーション勤務、シフト勤務を行う。


ユニバーサルレイアウト

ユニバーサルレイアウトの場合は、デスク構成や配置を均一に設定してあります。そのため、組織変更や従業員の増減に対処しやすいレイアウトです。
ただし、レイアウトの変更がしにくいため、省スペースに作られている場合などは、島型と同じような対応が必要となります。

 

・左右の席を一つ開け、対面の席を空けて座れるように、勤務を在宅と出社をローテーションで行う、午後と午前などシフトを決めるなど、出社人数を制限する。
・それぞれの席をある程度の高さのあるパーティションやパネルなどで仕切る。

 

東京都の緊急事態宣言も解除されましたが、以前とまったく同じ環境で過ごせるわけではありません。また、すべてテレワークで業務ができるわけでもありません。

レイアウトの対策以外にも、様々な工夫で乗り越えましょう。